※単行本発売前に書きました




護廷十三隊にも横のつながりというものがあり、人数の少なくなる上位へと、なればなるほどそれは濃くなる傾向がある。自隊の不満を漏らし、あるいは自慢を披露し、噂話を交換し合うのは、護廷の隊士達の日常であり、上は上なりの、下は下なりの交流を持っている。




衛島と“彼”はつまりはそういう関係だった。そのような交流の中で、比較的仲の良かったのが“彼”だった。

五番隊に殉職者一名。隊葬に遺体はなかった。霊体は虚の腹の中だと聞いた。
最高の席次は、三席。

涙は出なかった。死神にとって、殉死は珍しいものではない。決して低くはない可能性の一つであり、自分にも起こりうることであり、そう例えば、自分より遥かに強い隊長達ですら、その例外では無い。





まだ綺麗な墓碑の前に、一升瓶を置いた。
新鮮な切り花も供えてあった。


隊葬の時の事を思い出す。
隊長の平子は静かに沈んだ眼をしていた。何かに腹を立てているようにも見えた。
副隊長の藍染は沈痛な面持ちで、しかし手際よく葬儀を進めていた。
その傍らに、まだ少年と言っていい年齢の男が控えていた。天才、市丸ギン。空席となった三席を、彼が埋めるのもそう遠い話ではない。誰かがそう話していたが、衛島には興味がなかった。
衛島は、自分の隊のことを考えていた。もし自分が命を落としたら、隊長は怒るだろうか。副隊長が隊葬の進行をやるとは思えないので、笠城あたりがやるんだろうな、等々。

とりあえず隊長よりは、先に死にたい。

と言ったら、隊長が散々に怒鳴り散らすことは、想像に難くないが。
でもね、その価値はあると思ってるンスよ。だってあなた方がいなけりゃウチの隊じゃないから。



彼は、
この墓碑の下に眠る(ということにしておく)彼は、自分の隊葬のことを、どう思ったろうか。
しゃがみ込んで墓碑を見詰めていたら、背後で不意に気配がした。