七日前


隊長格を抜いて上から四人。顔を揃えるなら、それなりの重要案件と思っていい。
敵が特殊であるか、強大であるか。小回りの利く人数で迅速に叩く為の編成は、それでも年に数度は組まれた。




「今年はこれで最後かね」
「だといいがな。正月まで一週間だってえのに、まさかお前らと一緒にやることになるとは」
「年内の仕事は年内に片付けておいたほうが良いだろう。追加給金が出るぞ。餅代にはなる」
「餅代の前にさ、四人で忘年会やらない?」
「隊でやったじゃねえか」
「いやだから四人で」
「…東仙、寒いなら言え」

雑談に口も挟まず、一人むっつりと腕組みをしていた東仙に、笠城が声をかける。
「平気です」と答えたものの、東仙のは腕組みというよりは、寒さに耐えるために、腕を身体に巻きつけている、と言ったほうが正しい。
寒いかと聞かれたら、耐性の違いはあるにせよ、笠城も衛島も藤堂も、等しく寒かった。
現世の港町である。降っている雪は霊体に積もりこそしないものの、寒さだけは何故だか深々と染みてくる。
造船所付近出没すると噂の虚は、まだ気配を現さなかった。とは言え時間の問題だろう。餌は既に撒いてある。





「異人達がどこかへ向かってるな」
地上を見ながら衛島が呟いた。笠城、藤堂も足元を見やる。
「初詣か?まだ七日あるぞ」
「何か異国の神を祀る日があると、聞いたことがありますが」

東仙が口を開いた。意外な知識の披露に一同目を丸くする。
「へえ」
「あと今日は、煙突から老爺が侵入する日だそうです」
「なんだそりゃ」
「何にしろ人気はないほうが助かる」
海沿いから丘のほうへと歩いていく人々を見ながら、笠城が言う。
「はい」
東仙がそれに相槌を打った、ほんの数秒後だった。





「来た…」

東仙の発言で、三人に一気に緊張が走る。
「方角は?」
「船工場のほうです」
「あ!!」
藤堂が叫んで指さした方向、造船所の煙突の中へ、逃げるようにしゅるりと虚が入りこんだ。
「追うぞ」
「メリークリスマス」
「は?」
「煙突から侵入する、老爺に言う言葉です」
「ちょうどいい。投げかけてやろう奴さんに」



脚に霊力を込める。
白い影が四つ、飛ぶように煙突へと向かっていった。