TELEPHONE#NY


カチカチカチ、
と打つ番号、迷いなく動く親指二本。(こいつは大抵両手を使う)
コール。
「あ、もしもしホーマー?」



「アドレスに入れてないのか?」
電話を切ったパンサーに尋ねた。なるべく、なんでもなく。
「あ、うん。どうせNASAのみんなのは覚えてるし」
「へぇーすげえな今時」
五月蝿い同級生が横から口を出した。少し引っ込んでられないのかお前は。
「しっかし本当仲良いよなーお前んとこ。俺なんて同じチームの仲間なのにこの扱いよ?」
親指で指される。
不快なのでパシッ、と腕の位置を変えてやった。
「そんなことないよ。ねぇ、クリフォード」
パンサーはいつも通りニコニコ笑う。
はっきり言って返答に詰まった。詰まった、ら、すかさず
「えー!黙るなよ」
これだ。
お前が黙れ。



「仕方ねぇなー。じゃあここでいっちょ、俺が親愛なるクリフォードに友情を示してやろう」
「おぉ!」
パンサーもおぉ!じゃねえ。
何か良からぬ予感に目を細めた瞬間、パンサーの携帯が、バッドに奪われた。


「な…」

電光石火の指捌き。
ア然としたパンサーに、にっこり役者の笑み。紳士的に携帯を戻す。

「じゃ、クリフォードのアドレスは消しといたから」
「へ?」
「お前ッ…!」

そんじゃ。
ヒラヒラと小粋に手を振って、バッドは即刻去った。
残されたパンサーは、キョトンと携帯を握っている。



…アイツ、絞める。
次見掛けたら絶対絞める。

「……なんでクリフォードのアドレスを消すのが、友情を示すことになんの?」
パンサーが、?を浮かべて尋ねてくる。
とりあえずなんと説明すべきか。火照り始めた目元に手を当て、頭を悩ませた。