プライドの都合


恋するエネルギーっていうのはすごいもんだなぁと思う。いや本当に。


ドラムバック一つ担いだ、友人を空港で見送ることが月に二回以上あるなんて、珍しいこともあるものだ。こないだ家族に頼まれた空港みやげ、今回はいらないかなと思いながらロビーに立つ。
お土産は本来、貰う側だよ。
ねぇホーマー。

「…よく行くなんてゆったね」
「今頃言うな。今覚悟決めてんだよ!」
いつも賑やかな友人が、今日は大人しい。彼なりに緊張してる。今回ばかりはあまりいじめるわけにもいかない。

パンサーから連絡が来たのは昨日で、今日来いって、違うね大物の言うことは。
「代表選手が二人もいたら、監督は鼻高々だね」
「の割にはアイツがあっち行ってから静かだな」

そりゃあ、ホーマーもでしょう?
ぶすぶす、不安と憧憬と焦燥と寂寥その他が燻っているにおいがする。
いや、僕もかもしれないけど。
とりあえず一言「寂しい」くらいは言って良いのかもしれないけれど、それはパンサーが男で、ホーマーも男であることが、許さない。それは道徳の話じゃなくて、プライドと野望の都合だ。




「ま、足並み止める訳にいかねーなら、追い掛けるしかねーな」

パン、と両手で顔を張る。


覚悟が決まった。