ホーマーが出て行った。
お尻の下の床がやけに冷たいのは、反対に俺の体がすごく熱いからだ。

どうしよう。
ズクズクするくらい勃ってて、とてもこのまま帰れそうにない。
ていうか、気付かれた よね ? 確実に。
やばい。
オカシくなりそう。
つうか既にオカシいって俺。
あんな怖くて恥ずかしかったのに、こんなになってるなんて…

「ぁ…ッん…」
自分で傷に触れると、痛みじゃない変な感覚が全身を疾って、今度は声まで漏れてしまう。
傷を指先でそっとなぞりながら、チャックを下げる。
一回だけ。一回だけ抜けばまた普通に戻れる。だから一回だけ。

勃起したのを握ってしごく。
傷に触れていた指先が、気付くと乳首を弄くる。
「ア…ッ、んっ…ぁっ、ぅ、…んッ」
自分でしながら声が出ちゃうなんて初めてだった。
まださっきの感じが残ってる。
口の中だって、ホーマーが入ってきた感触がまだある。
一回だけ。だって抜かなきゃ帰れないし。
誰もいない部室に、俺が一人でシてる音だけがたっている。
衣擦れと、品のない水音と、俺の声と呼吸と心臓のおと。

「ぁ、う…ア、アア…ッ…!!」
オカシイオカシイ俺はオカシイ。
背筋を通る震えと一緒に精液を吐き出して、目元にだいぶ涙が溜まってたことに気付く。


今日はだいぶ遠回りして帰ろう。
遠くまで走って帰ろう。



でなきゃとても眠れそうにない。





『愚考の芳しき香りかな』


by 終焉