1〜10


(2.クリパン)
素直すぎるバカだなから始まって遠慮しいの未熟者を経過、そしてとんでもねえ嘘吐きだな、というのがパンサーに対するクリフォードの今の評価だった。

本人に告げたら
「クリフォードってブラフや駆け引きはすごいけど、すごい正直者だよね」
と困ったように眉尻を下げて、笑いながらパンサーは言った。

「そういうところ好きだよ」


『正直に申し上げます』


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(3.クリパンとバッドとタタンカ)
突然の雨。
買い出しから帰ってきた二人。
相合い傘。



「………なんで?」
バッドが笑顔で聞いてくる。
役者の、業務用笑顔。

「荷物少なくできるならそのほうが良いだろ」
「や、荷物少なくできるならそのほうがいい?のかな?…って」

一片の隙もない真理を語るかのようなクリフォードと、ちらちらとクリフォードに視線を送りながら答えるパンサー。

わかった。
じゃあ今度雨降ったらどっちかの傘にすかさず潜り込んでやろう絶対にだ。





「多分無理だヤメテオケ」
「えっ!?なんで分かったのタタンカ!」

『傘の下で』



−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(4.クリパン)
「値段が」
「ああ?」
「ついちゃうんだなって」
「当たり前だろうが」

つらいか。と言おうかと思ったが返答なんて知れてるのでやめた。
速すぎて、早すぎる。

まだ子供でいられたのに、は負け惜しみすぎて速攻破棄。



『大人の定義』



−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(5.ホマパン)
五つくらいには入りたい。
いや欲を言えば三つ。

でも一つに絞ったら多分俺なんて残れないのだ。

一つだけを、ちゃんと選べるからかっけえんだろうが。
別にいい。
願われなくても傍にいてやる。



『世界で一つだけの願い事』



−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(6.クリパン(微妙に『孤高』と関係?))
「糸、切っちゃったけど、でもさ、それなら、もう一人切れてる人を探せばきっとそれが」
「お前以外にも糸切ってる奴いるかもしれねえだろ」
「…言われてみれば」
「それにお前がそのつもりなら、今繋がっている糸を切るのも惜しくない」

「そんなことしちゃ相手が可哀想だって」
「口説いてるんだよ気付け馬鹿」



『手繰り寄せた糸の先』



−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(7.タタンカとパンサ)
合流時点で州選抜や地区選抜での顔見知りらしき仲間には、既に相当可愛がられていて内心ぎょっとした。
とは言え実際接してみると、それもわからなくはない。能力に傲らず、争いを好まない、人当たりの良い好人物。
出来過ぎていていらぬ心配をしたくなる。

「いつもと違うチームでやるの、緊張しないか」
「そりゃ少しはするけど…、でもやっぱすっげー楽しいよ!だってみーんな!全員!憧れの選手ばかりだし!!」

笑顔と目の輝きが本物過ぎて、4秒1の男がそれを言うか。
なるほど。
やられた。


『好きにならないはずがない』



−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(8.ホマパン。 !!死にネタ!!)
「俺は絶対送るほうじゃねえと、そうじゃねえと、ばあちゃん、可哀想だからさ」

いつもより少しだけ声量を落として、でも笑いながらパンサーは言ってた。
送るほうなんて厭だよな。
俺だって厭だ。


でも、パンサーが厭なこと、代わりに引き受けてやれるなら、そこまで悪くねえわ。
悪くねえことにして、少しだけ笑えた。


『君の最期に』



−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(9.クリパン)
傷はなかったことにはできない。
でも他人に敢えて見せるようなものでもない。
たまに触ろうとする人もいるけど、やんわりと避けるか、ぜんぜん痛くないふりすれば大したことないのかなって思うのか、興味をなくすのだ。
普通の人なら。

「…なんでこういうことするの」
「怒ったり凹んでるお前のほうがレアだから」
こともなげにそう言って、傷に触れる。
器用に、巧妙に、避けられないタイミングで、声をあげそうになるくらい痛い角度で。
痛がるとクリフォードは満足そうな顔をするから、きっとゲームなんだろうなこれは。

クリフォードとゲーム。
勝てる気がしない。


『ゲームを始めようか』



−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(10.クリパン)
「なんで来たの?」ってうっかり聞いてきっつく睨まれた。いやだって遠いじゃない?しかも今シーズンじゃない?用事も、別に、ないよ、ね?

「だからお前は薄情だっつーんだよ」
「ごめっ…や、うう嬉しいよすごく!!!」
「まさかとは思うがお前のことだから念のため確認しとくが」

そう言ってクリフォードはスマホを取り出して、指で素早く操作した。無言で渡される。ネットニュースの記事が表示されていた。

「…あ、うん、でも、大丈」
「ああ知ってる、お前はきっと、だいたいは、大丈夫だって」
クリフォードは俺が言い切りる前にスマホを取り上げた。すぐに尻ポケットに仕舞う。
「でもお前が大丈夫であろうがなかろうが俺が会いたいから来た。文句あるか」
「…ないです」

凄む顔に、顔が緩む。我慢しようとしたけど、あんま上手くいかなかったかな。
「茶ぐらい出せよ」
「出す出す、もちろん出すったら」


『きっと大丈夫』